鶴山裕司さんの連載小説『横領』(No.09 最終回)をアップしましたぁ。金魚屋から『日本近代文学の言語像Ⅱ 夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の鶴山さんの連載小説です。突っ走ったというか、突っ切りましたね。100枚ほどの中編小説ですから、ズバッと突き抜けてくれなくっちゃわですよねぇ。
プロットがあって思いっきり俗な設定ですが、石川は『横領』は純文学だと思います。純文学とは現世を描きながら、それがどこかで天上に抜けるような観念を持っている小説のことです。私を主人公(彼、彼女でも一人称なら同じです)として、私の内面を描く形式が純文学であることを保証するわけではありません。むしろ私小説的な純文学の形式をなぞるような小説はアトモスフィア純文学に過ぎず、小説としてすら失格だと石川は考えています。
鶴山さんは古美術に強いことからわかるように、時間感覚に長けた作家です。前に『好色』という歴史小説を連載してもらいましたが、現代モノよりも歴史小説の方が得意のようです。ただま、現代小説は書けないということは、ないというよりあり得ない。作家なら書けて当然です。現代小説と歴史小説の大家、漱石と鷗外論を書く作家ですから、そこからうんと学んでいることもあるでしょうね。
■ 鶴山裕司 連載小説『横領』(No.09 最終回)縦書版 ■
■ 鶴山裕司 連載小説『横領』(No.09 最終回)横書版 ■
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■ 第10回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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