小原眞紀子さんの連載エセー『詩人のための投資術』『第二十四回 相場を張るⅡ―ヘッジの心』をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの経済エッセイです。今回はヘッジですね。含み損を最小限に回避するための投資手法です。
これは人間のメンタルに深く関わる手法であり、また小さな個が世界に対峙する方法でもあります。小原さんは『甘やかされ、自我を主張するのがエラい、そうしなければ損だ、と思っているうちは絶対に見えてこない自然の摂理がある。その見えてこないことの方が、くだらない自我なんかよりもずっと大事だ。わかろうとしなければ永遠にわからない』と書いておられます。
総合格闘技でプロレスラーが「プロレス最強」と言ったりしますがそれは反語です。負けることがあるのを前提としている。つまりステージの上に立って自己と世界の関係を更新しながらのプライドのあり方で、誰からも批判されない安全な場所に引きこもって自己主張しているのとは違います。文学金魚的に言えば総合文学的視点ですね。世界の中の自己という認識を持って「小説最強」「俳句、短歌、自由詩最強」と主張するのはアリですが、ギョーカイ人がそんなことを言っても外の世界の人は冷笑しか浮かべてくれません。
どんな場合でも真剣勝負は人間を育てます。知識を増加させ精神を強くしてくれる。投資でも文学でも同じことです。座布団敷いて誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、まず身銭を切って真剣勝負すること、うんと痛い目に遭うこと。それをしなければ小さなステージにすら立てないのです。
■ 小原眞紀子連載エセー『詩人のための投資術』『第二十四回 相場を張るⅡ―ヘッジの心』 ■
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