小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『鏡』(第21回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。今回はCurrency=現在=通貨というタイトルにふさわしい詩篇です。
わたしは欲している
欲する人々の
わたしはイマージュであり
わたしは欲している
欲することを
欲されることを
あなたは、と呼ばれることを
わたしの背に
わたしの影が
薄く貼りついて
陽炎のように
幻のように
揺れている
(小原眞紀子『鏡』)
人間の欲望は他者の欲望です。他者から見て自己がどう見えるのかが人の欲望を喚起します。お金持ちになりたいというのは漠然とし過ぎていますが、有名になりたい、素敵なお洋服を着たいなどというのは、他者からうらやましがられる存在になりたいという欲望ですね。それを一生追い求める人生も楽しからずやですが、芸術家ならそういった欲望を相対化したいものです。浮世離れした存在なのですから。
ただ浮世、現世と離れて芸術が成り立たないも然りです。構造として、システムとして欲望を捉えることで、欲望は相対化されてゆきます。万人に共通の欲望は存在せず、欲望し、欲望される焦点として自己存在を捉えれば、何が普遍なのかが見えてきます。『鏡』という詩篇は良質の抒情詩ですね。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『鏡』(第21回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『鏡』(第21回)横書版 ■
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