小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『波』(第18回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。
下を覗けば
欲望は段々になって
足場を作っている
恐怖を探しに
彼は降りてゆく
谷底にはたいてい
小川がながれている
いろんな欲望が捨てられた
なつかしい小川が
恐怖はなく
どこにもなく
姿を変えた欲望しかない
かたちづくられるよりも
かたちをかえるほうがはやい
ひとはひととして成長せず
ひととして年老いず
波として変化する
(小原眞紀子連作詩篇『Currency』『波』)
小原さんの詩はぶっきらぼうな感じである本質を描いていることが多いです。今回の詩には「ひとはひととして成長せず/ひととして年老いず/波として変化する」とありますが、その通りだと思います。人間は生まれた時にすでにスタンプのようにある決定的な性格が捺されています。それを変えることは人格が崩壊することを意味しますから、誰にも変えられない。しかし変化することはできます。人間の衰弱や老いは、変化しなくなったことで生じるものだと思います。
今年は2020年で新たな〝0〟年代の始まりです。人間の無意識が作り出す意識はなぜだか0年代にシンクロしているところがあります。問題もたくさん起こるでしょうが2020年という0年代は変化の時代になるでしょうね。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『波』(第18回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『波』(第18回)横書版 ■
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