岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『月刊俳句界』の2連投です。『特集「初『句集』挑戦/俳句で音楽鑑賞/天変地異」』と『特集「われら20代俳人」』を取り上げておられます。新人賞の発表ではないですが、若手俳人の作品はやっぱり面白いですね。ただ俳句界で20代くらいは、まー言ってみればヒヨコくらいの感じで受けとめられているのが一般的ではないでしょうか。俳句は難しいのです。
俳句は誰でも簡単に詠めるので、テレビ番組の名物コーナーになったりもします。じゃお遊びで詠んだ句がダメなのかと言えばそうとも言えない。それなりにいい句を詠む人はたくさんいます。ただしアベレージになると違ってくる。そしてこのアベレージに高低がある。うんと高いレベルで俳句を詠んだ人は、低いレベルの人の最上よりも優れた句を詠んだりします。俳句では一句、つまり一作品で突出した成果をあげることが難しい。もしかしたら有名句に比肩できるような句を詠んでいたとしても、それが俳人たちに認められ、俳句の名作として受け継がれるのかはまた別です。
俳句は簡単に詠めるので続けるのが難しい。商業句誌が俳句創作指導で埋められているように、ちょっとテクニックのある句を詠むのはそんなに難しくないのです。ただその次の段階がかなり困難です。作家が初発に持っていた独自の表現欲求は、数十句も詠めば簡単に尽きてしまう。それは短歌や自由詩などでも同じですが、俳句の場合は尽きた後にごく平凡な句を詠んで難局をやり過ごす、いわば〝逃げ〟の道がハッキリあります。
プロと呼ばれる俳人たちは、なんらかの形で逃げを打たなかった作家ですが、それでも俳句を量産するために一定の俳風に固着しやすい。すぐに変化がなくなってしまうのですね。そんな閉塞状況を打破するためにも若い俳人たちの句を読むのは大事です。荒削りでもどうしても俳句で表現したい何かを作品化している場合が多いからです。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.116 特集「初『句集』挑戦/俳句で音楽鑑賞/天変地異」』(月刊俳句界2018年11月号)■
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.117 特集「われら20代俳人」』(月刊俳句界2018年12月号)■
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