鶴山裕司さんの連載長篇詩『聖遠耳 Sei Onji』No.007をアップしましたぁ。金魚屋から『日本近代文学の言語像Ⅱ 夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の、鶴山裕司さんの長篇詩2,187行です。軽く書いた長篇詩で作家本人はあまり思い入れのない作品のようですが、力作が傑作になるとは限らないのは文学の世界では常識です。
長篇詩を書いた詩人はヨーロッパではダンテ、アメリカではパウンドらがよく知られています。鶴山さんはフランスサンボリズムと日本の戦後詩・現代詩が思想と技法の基盤で、パウンド的な長篇詩にもだいぶ前から興味を示しておられます。『聖遠耳 Sei Onji』は日本、ヨーロッパ、アメリカ文学を統合したような長篇詩です。西脇順三郎以降の日本の自由詩で、ようやくまともな長篇詩を書く詩人が現れたと言っていいでしょうね。
短歌・俳句を除く、いわゆる自我意識文学である自由詩や小説の世界では、極めていい加減な言説がまかり通るようになっています。1990年代くらいまでの世代と2000年代以降の世代が切り離されているわけでが、90年代までの旧世代であろうと無責任な作家は、混乱に乗じて00世代に相乗りして、ジャンルの歴史や基盤を無視した自分に都合のいい言説を撒き散らしています。小説も詩も、作品はもちろん評論のレベル、ガタ落ち絶賛進行中です。
ただ00年代以降の根っこのない言説は、間違いなく泡沫のように消えてゆきます。それに乗じた旧世代は恥を知るべき輩ですが、何も言わずに泡沫言説の跋扈を許している旧世代も情けないですね。旧世代がなぜ旧世代になるかというと、現代にアップデートした仕事ができないからです。そういう作家は静かに死んでいってほしいですね。文学金魚でチア―アップする作家は、旧世代だろうと新世代だろうと現代にアップデートしている作家だけです。
■ 鶴山裕司 連載長篇詩『聖遠耳 Sei Onji』(No.007)縦書版 ■
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