第06回金魚屋新人賞授賞の、片島麦子さんの新連載小説『ふうらり、ゆれる』(第01回)をアップしましたぁ。受賞後著者と相談の上、著者名と作品タイトルを今の形に変更しました。これまでの金魚屋新人賞受賞作とはひと味違った作品です。淡々と物語が進みますが非常に強いリアリティがある。辻原登先生が選評で書いておられましたが、小説の世界でもこういった作品は珍しいでしょうね。
森鷗外は晩年に史伝を書きました。一人の人間の誕生から死去までを、手紙などの資料を基に書き綴った一種のドキュメンタリーです。片島さんの『ふうらり、ゆれる』はもちろん小説ですが、なんとなく鷗外史伝に通じるようなテイストがあります。鷗外史伝も淡々と筆が進むのですが、読み終わると小説を読んだ後よりもある種のリアリティが迫ってくる。江戸の人の箸の音まで聞こえてくるような作品なのです。
今書かれている小説のほとんどは心理描写小説です。純文学でも大衆文学でも主人公の心理を細かく綴ってゆく作品が多い。小説が人間関係に興味を絞った芸術なので当然といえば当然です。ただ心理描写だけで人間の本質が描き出せるわけではありません。片島さんの『ふうらり、ゆれる』は、人間存在に対して明らかに違う形でアプローチしています。秀作です。
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第01回)縦書版 ■
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第01回)横書版 ■
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■ 第7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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