金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原眞紀子さんの連載小説『No.003 本格的な女たち』をアップしましたぁ。今回は本格的ミステリー小説で犯人がまだわからないという形を取っています。不審死は当然のことですが、殺人に発展しなければならんわけです。
小原さんの『文学とセクシュアリティ』をお読みになった方はおわかりですが、この本は単なる『源氏物語』ではありません。副題に『現代に読む』とあるように、男女性差を活用した小説の書き方、あり方を論じた本です。小説文学において男女問題は重要です。男女と金の問題がなければ小説を含めた物語は成立しない。それを小原さんはテキスト曲線という男女性差のダイナミズムによって解明しておられます。つまり『文学とセクシュアリティ』は小説の書き方のノウハウ本でもあります。
男女問題は、生物学的差とジェンダーによって説明されるのが普通です。しかし小原さんは生物的に男性であっても女性であってもベクトルとして男性性と女性性は存在するのであり、そのダイナミズムがドラマチックな優れた文学を生んでいると論じておられます。小原さんの説明は杓子定規な生物学論やジェンダー論とは無縁です。文学として語られていますが基本的にはすべての人間的現象に援用できる。
また『文学とセクシュアリティ』で表現されたテキスト曲線の実践版が、小原さんの小説ということになります。理論と実践を同時に行い結果を出してゆくのは詩人さんの特徴かもしれません。小説家はほぼ小説とは何かを考えませんが、詩人は詩とは何かと考えざるを得ない。原理的創作者なのであります。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.003 本格的な女たち』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『No.003 本格的な女たち』横書版 ■
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■ 第6、7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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