ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.014『少女と銀狐』第21-22章をアップしました。『第21章 キツツキはかんがえこんでいろいろたくらむ』『第22章 地がふるえ、ざわつくやみがかけこんでくる』です。今回の章は比較的素直に童話ファンタジー小説の展開に沿ったものですね。ただ通せんぼを命じられたキツツキが、ライバルのハーピーのことをやたらに気にしたり、年取った自分の体力を心配したり、はたまたご主人様であるゴン・ドラゴンのご機嫌を気にしたりするところがveryドイナさんです。
童話ファンタジー小説では現代リアリズム小説と違って、息苦しい人間関係やがんじがらめの社会的コードを描く必要はありません。しかしそれらが存在しなくていいかというと、そんなことはありません。むしろ原初的な形で人間関係や社会的コードが描かれている必要があります。
童話ファンタジーに登場してくる者たちは原初的存在です。原初的存在ということは、暴力的欲望と同時に人間にしか与えられていない聖なる無私の心を持った存在ということです。そういった原初的存在が交わり合えば、当然、現代リアリズム小説ではなかなかストレートに描きずらい人間関係や社会の本質が見えてくる。ある本質が描かれているゆえに、優れた童話ファンタジー小説は詩の直感的断言に近くなるのですね。『少女と銀狐』の現世的に苦しむ銀狐と、悪の権化のようでいて、その心のがいまひとつ計り知れないゴン・ドラゴンの造形は魅力的です。
んで訳者のラモーナさんはルーマニアに帰省するご予定があるようです。そのあいだにドイナさんにインタビューをしてもらうことになっています。ルーマニア語はお手上げなので、ラモーナさんにインタビューをまとめていただくしかありませんが、とっても楽しみですぅ。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第21-22章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第21-22章 横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■