遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第10回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(下編)』をアップしましたぁ。種山先生は謎解きの秘訣を『見ただけです。記憶のタブローですよ。記憶の地図の中に含まれる無数のタブローを呼び出して並べ替えていく。そうしたら、いくつかの組み合わせがおのずと答えを指し示してくれる、というわけです』と話します。これは遠藤さんの基本的小説手法の一つですね。
遠藤さんはホラーからラノベ、純文学小説も手がけますが、作品の大きな特徴に人間(自己)の無意識領域の探索があります。時に奇怪なイメージとなって現れ、ホラー小説になったりするわけですが、問題はそれをどうやって引き出すかということ。種山先生は『タブロー』という言い方をしていますが、遠藤さんを見ていると、必ずしも絵だけを指さない。言葉でもいいわけです。何かを触媒として自己の無意識領域に降りてゆく。
なぜこの方法が必要かと言えば、原稿を量産する作家はインスピレーションに頼ってなどいられないからです。ヒマな詩人がしばしば天からヒラメキが降りてくるのを待つとか言いますが、そりゃうんとヒマだからできるんだなぁ。書くことがたくさんあって、そのとっかかりが欲しい作家はヒマぢゃない。種山先生的〝タブロー〟によって人工的インスピレーションを起こすのです。
もちろんこの人工的インスピレーションはあくまでとっかかりです。常に自己(人間)の無意識領域の可能性と不可思議さ、恐ろしさに興味を持っていて、それをなんとか作品にして読者に伝えようとしている作家が、新しい作品を書く時のとっかかりとして必要になる。本体の興味(作家主題)がなければインスピレーションなどアブクのようなものに過ぎないのは言うまでもありません。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第10回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(下編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第10回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(下編)』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■