大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第二十五回 ヒーローはわかってくれない』をアップしましたぁ。フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル監督の『ターボキッド』を取り上げておられます。大野さんが書いておられるように、ヒーローはどんどん変化していますね。楽屋落ち的なヒーローが登場することも珍しくなくなりました。これも20世紀的文化の解体(脱構築)現象の一つでしょうね。
文学金魚の著者では遠藤徹さんが『スーパーマンの誕生』という本を書いておられます。アメリカの歴史を遡ってアメリカン・ヒーローの本質を明らかにしようとした本です。つまりヒーロー・英雄はある国家・文化の歴史から生み出される。古い歴史を持つ国家の場合、古典的英雄はほぼアンタッチャブルになりますが、アメリカのように歴史の浅い国は違う。ヒーローが変化し続ける。それは古い伝統を持った国でも同じなのですが、古典英雄とは違う形で表現されるのでわかりにくいということです。
ただ英雄の解体(脱構築)はエンタメコンテンツの一つとしては面白いのですが、一過性の楽しみで終わってしまう傾向がある。前衛的、あるいは現代的に見える脱構築ヒーローコンテンツの傍ら、あくまで古典的英雄を探し求める『スターウオーズ』などがヒットしてもいる。創作者は一過性の新し味に目を奪われても、古典に安住してもいけない。両者を均等に視野に入れながら、現代的な新しくて古いコンテンツを作り出さなければならないといふことです。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第二十五回 ヒーローはわかってくれない』 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■