星隆弘さんの連載演劇批評『現代演劇の見(せ)かた』『No.021 OM-2 『ハムレットマシーン』』をアップしましたぁ。真壁茂夫さん主宰の劇団OM-2公演『ハムレットマシーン』のレビューです。『ハムレットマシーン』はハイナー・ミュラー作でシェイクスピア『ハムレット』を下敷きにした前衛劇です。ポスト・モダニズム演劇を代表する作品です。比較的解釈の幅が広い戯曲ですが、その分、劇団の力が試される作品でもあります。
星さんはOM-2版『ハムレットマシーン』について、『中心に据えたのは、俳優の肉体のメカニズムそのものであった。(中略)俳優が〈テクスト〉に窒息するその間際にビニールを破るという破壊は、俳優の肉体が〈テクスト〉に充満することを危険視することを観客に知らしめる直接的な提示であった。一つの完結した存在が破り捨てられることで、無害で安逸な上演(史)と観劇(史)の不成立を宣言した。それは同時に、ある特定の〈テクスト〉で満たされることなく、暴動のなかで民衆とともに撃ち殺されることもできない、俳優の宿命でもある』と批評しておられます。
プレテクストと引用の織物に芯まで浸食されているのが高度情報化社会を生きるわたしちの精神のありようです。『ハムレットマシーン』はそれを端的に表現した演劇ですが、星さんの批評からも、舞台でなけれならない理由はよくわかりますね。ある種の〝肉体の復権〟がこの演劇にはあるわけです。ただこの先さらに、人間がどのような新たな精神的、認識的地平に出てゆくのかは今のところ不透明です。
引用、二次創作が当たり前になっている現代ですが、そのような精神構造の変化を最も端的に、かつ危機をもって描いているのは演劇だと思います。そこでは俳優の肉体がが躍動している。それは現代においてもなお人間の表現の原点です。大きな変化の時代には、演劇のような人類にとって最も古く普遍的な表現から何かが変わってゆくのかもしれません。演劇の世界ではOM-2『ハムレットマシーン』のような刺激的公演が、日々上演されているのであります。
■ 星隆弘 連載演劇批評『現代演劇の見(せ)かた』『No.021 OM-2 『ハムレットマシーン』』 ■
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