寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『二、命名・安太』(第02回)をアップしましたぁ。寅間さんの連載小説第四弾です。杓子定規なことを言えば、タイトル通りの男根主義的小説です。ただ小説の倫理はワイドショーとは違うわけで、作家が何を描こうとしているのかが焦点です。
男の作家は女性を正確に描けるのか、女の作家は男性を? というのは難しく考えればいくらでも面倒な問いになります。YesでありNoでもあるというのが正解に近いでしょうね。簡単に言えばあらゆるタイプの男女がいる。漱石先生は世の中広いんだから小説でキャラクタライズした登場人物のような人は必ずいる、だからその手のリアリティで悩んだことはない、とのたまいましたが、それが実践的には一番正しい方法だと思います。
ただ女性作家の恋愛小説で男は出てくるんだけど現実の手触りが薄い小説、その逆に男性作家が書く小説で、女が出てきても妙に現実離れしている小説はあります。それが駄作かといえば、ツボにハマると凡百のリアリティ小説より傑作になることがある。なぜかと言えば、作家が自己の内面を見つめているからです。そういった小説では男や女の登場人物は、作家の観念軸を際立たせるための指標でしかありません。
寅間小説で女性が出てきても妙にリアリティが薄いのは、彼の作品が本質的に、ホモセクシュアル小説に近い面があるからでしょうね。この場合は精神的な意味です。主人公はたいてい無目的で消極的。物語を動かすのはダチ。ダチもまた無目的ですが、主人公はその虚無に一直線に引き込まれてゆく。自己と他者の〝底〟に何を見ようとしているのかが、作品の正念場ということです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『二、命名・安太』(第02回) 縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『二、命名・安太』(第02回) 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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