大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第十九回 無色の生』をアップしましたぁ。ウベルト・パゾリーニ監督の『おみおくりの作法』を取り上げておられます。ウベルト・パゾリーニ監督は、ルキノ・ヴィスコンティの甥っ子さんらしいですね。イタリアではなくイギリスで活動しておられるようです。大野さんは『ある意味でイギリス人以上にイギリス文化に染まった人物』と書いておられます。
『無色の生』は、まーホントにイギリスらしい映画です。主人公のジョンは民生委員で、孤独死した住民の葬儀等々の手配の仕事をしています。このジョンという人物がもんのすごくモノクロームな感じです。知的なんですが自己主張のない〝特性のない男〟です。こういった人物を堂々と主人公にするところがイギリス映画ですねぇ。
大野さんは『原題の Still Life はジョンが送った「静かな生活」の意でもあろうが、美術用語では「静物画」となる。静物画にはむろん静謐のなかで神への感謝を捧げる意味があるから、例えばジョンの侘しい食卓も、その意味では美しいものとなり得るだろう。だがさらに皮肉な解釈をすれば、Still Life は「まだ生きている」と読めなくもない。それは生に絶望したジョンの魂が発した呪詛かもしれないのだ』と批評しておられます。
ある国独自の文化って、外から見ているとわかりにくいところがあります。『無色の生』はそういったイギリス文化を表現した作品です。イギリスはファンタジー文学の宝庫ですが、その底にあるのはジョンのような生への呪詛と絶望と、そこからの救済の指向かもしれませんね。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第十九回 無色の生』 ■
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