小原眞紀子さんの連作詩篇『『ここから月まで』 No.021 西/食/石』をアップしましたぁ。小原さんのCool抒情詩第20弾です。掌編詩ですが1回3篇ですからこれで60篇です。小原さん筆力があります。筆力は作家にとってとても大事です。もちろん誰もが最初からどんどん書けるわけではなく、試行錯誤の末に、ある時期からダダッと書けるようになる。また作家はそうならなければにっちもさっちも行かない。
作品は長くても短くても基本的に一つのことしか表現できない小さな器です。一作書くのに苦労しても本を出す(作品をパッケージとしてまとめる)という作業が次に来ます。本を出せば仕事は一区切りです。次の仕事に取りかかってまた次の本を出す作業を始めなければなりません。作品をまとめられないと次に進めない。本を出さないと次の本は出せない。筆力がなければ生涯一冊で終わるかもしれません。それで世の中に認められようというのは宝くじに当たるようなものです。筆力がなければいい作品も悪い作品も生まれない。日が暮れてしまうだけです。
僕は石をじっとみつめる
僕だよ、とささやくと
誰かの顔が浮かんでくる
僕はいつしか鑿をとり
誰かを外に出してやる
そこにある石のかけらが
僕だよ、とささやく
(小原眞紀子『石』)
木や石ころの中に彫刻が眠っているという意味のことを言った彫刻家はけっこういます。特別な才能があるからそう感じるわけではありません。要は何かを生み出したい。自分の最も得意な表現ジャンルで、無意味で無価値と思われているところから意義のあるものを生み出したいということです。文字を使う作家も同じですね。書けない、書き尽くしたと思った時からが作家は勝負とよく言いますが、んなもの通り越せば、無の方からここに表現すべき有があるよ~と語りかけてくるといふことでもあります。
■ 小原眞紀子 連作詩篇 『『ここから月まで』 No.021 西/食/石』 縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇 『『ここから月まで』 No.021 西/食/石』 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■