第4回文学金魚新人賞一次審査通過作品発表をアップしました。今年も多数のご応募、ありがとうございます。応募総数191作品の中から25作品が第二次審査を通過しました。ご応募に感謝するとともに、創作に対する皆様の強い熱意に敬意を表します。
新人賞を公募している側としてはなかなか言いにくいところがありますが、新人作家の皆様は、まあ言ってみれば手当たり次第に賞に応募しておられると思います。それはそれで良いのです。本当に優れた作品であれば、どこかのメディアがいずれ評価してくれます。ただ最低でも、作家自身が優れた作品とは何かについて、一定のヴィジョンを持っている必要はあります。またそのヴィジョンは独りよがりなものであってはいけない。過去作品を踏まえた未来に届くようなヴィジョンである必要がある。未成熟でもそういった作品が持つ迫力は読者に伝わります。
また石川は、現代作家は純文学作家を含めて多作の時代に入ったと考えています。寡作でも研ぎ澄まされた作品が評価される時代は終わりました。作品数が少なくても評価される時代というのは、戦後文学などのパラダイムがきちんと存在していた時期です。評価基準がはっきりしているから、その共通理解の中で圧の高い作品を読み分けることができた。しかし今は違います。
今は中堅・ベテラン作家を含め、多くの作家が文学のヴィジョンを見失っています。そのくらい難しい時代であり、変容期に差し掛かっている。こういった難しい時代に作品を量産できるということは、作家がヴィジョンを持っていなければ不可能です。たとえ新人賞を受賞してもゴールではありません。スポーツの世界のように、優勝や金メダルが到達点という世界とは違うのです。統計を取ってみればわかりますが、紙媒体の歴史ある文学雑誌で新人賞を受賞しても、その後本が出て、本を出し続けられる作家は一握りしかいません。
書けること、作品を量産できることは現代では作家の力を試す大きな尺度です。ヴィジョンがあり、書き続けることができればなんとかなると言ってもいいかもしれません。新人賞に公募して、半年とか一年とかを首を長くして結果を待っているようではダメです。金魚屋新人賞は特にそうです。新人賞は作家にとっての通過点と編集部は考えています。またそういった力のある作家を求めています。新人作家のデビューも、既存作家の再デビューもあり得ます。現代の難しさを踏まえた、新たな文学ヴィジョンを持つ新しい作家、あるいは生まれ変わった作家の登場を心待ちにしているのです。
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■