水野翼さんの文芸誌時評『No.030 S-F マガジン 2017年8月号』をアップしましたぁ。力の入った『スペースオペラ&ミリタリー特集』を取り上げておられます。専門誌はまだまだ健全かつ健在でいられるでしょうね。
つまり紙媒体でなくてはならないもの、紙媒体ゆえの愉しみの本質、というような話だ。まあそれはすなわち単行本でしょ、少なくともという結論に達しそうではあるけれど、もうひとつ雑誌でも専門雑誌についてはやっぱり待っている読者、そのワクワク感が残っているものがある。
単なる文芸誌とか詩誌、総合雑誌といったものを手にとると、その先にあるさらに広範な〝総合〟をもはや求めてしまう。広範な情報は、すでに紙媒体の守備範囲ではない。より広く、効率的に情報を集めるということにおいて、紙媒体はネットの敵ではなく、広範囲にわたらないという意味において、権威ですらなくなりつつある。
水野翼
アニメやゲームに限らず、現代で最も活況を呈しているのは〝専門分野〟です。少数(といっても一定数は必要ですが)の支持者(ファン)がいればビジネスとして成り立つ時代になっています。そういう意味で専門文芸誌が、よりディープな専門性に特化してゆくのは正しい選択です。問題はなんらかの形で〝総合性〟を目指している(と受け取られている)メディアでしょうね。
文学は〝学〟がついていることからもわかるように、〝人間存在とは何か〟を創作によって探求する人文学の一つです。優れた創作が常に学問研究分野に大きな影響と示唆を与えて来たのは言うまでもありません。それが〝純〟がつく小説や、エンタメ表現としてはあってもなくてもいい詩が〝総合〟を目指す理由です。新しい発想や技術を含めて、人間存在の探求に総合的に取り組むことを期待されているのです。
ただ今の純文学系小説誌や詩誌は、世の中の大勢に流されるように、中途半端な専門性に閉じがちです。文学金魚的に言えば、既存の文学〝制度〟にしがみつきがちです。しかし純文学と呼ばれる小説や詩は、ネット的な知のパラダイム転換を当然のように踏まえ、総合的スタンスで活路を切り開いていかなければならないと思います。専門分野の時代にアヴァンギャルドになり得るのは、当然ですがそれを突き崩す総合性です。
■ 水野翼 専門文芸誌時評『No.030 S-F マガジン 2017年8月号』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第0回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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