田山了一さんのTVドラマ批評『No.160 火花』をアップしましたぁ。NHKさんのドラマ10で、毎週日曜日の夜10時から放送されている全10回完結のドラマです。又吉直樹さんのベストセラー『火花』のドラマ化です。林遣都、波岡一喜、門脇麦、好井まさお、村田秀亮、高橋メアリージュン、菜葉菜、染谷将太、山本彩、渡辺哲、田口トモロヲ、小林薫さんらが出演しておられます。
石川は『火花』を読みましたが、この作品をドラマ化するのはむちゅかしいだろうなぁと思います。ただこれだけ話題になったのだから、ドラマ化せざるを得ない面があるでしょうね。しかしその〝話題の本質〟がどんなものだったのかは考えておく必要があります。
つまり潜在的な文学のファンであった人々に、ここ何年も手に取ろうとしなかった芥川賞受賞作を買わせた、というのがブームの姿だった。そのような文学ファンにすら、昨今の芥川賞、純文学の姿はほとんど理解不能、いつの間にか関心の外になっていたものが、大きな期待をもって迎えられたのだ。その期待とは、今度こそ新しい純文学のあり方、その定義が見えるのでは、ということだったろう。
その期待は応えられたのか。再び率直に言えば、この作品は文学に対して潜在的な関心のある人々に「半分は評価、半分はやる側の計算」という構造をあからさまにわからせてしまったのではないか。芥川賞もノーベル賞も、およそ賞はそういうものだが、純文学の象徴であった芥川賞を通して、文学への幻想を微かに抱いていた人々を、文壇は永遠に失ったのではないか。
(田山了一)
『火花』を論じる際にはどうしてもそれがベストセラーになったことに触れないわけにはいきません。その場合、田山さんも書いておられますが『無論、それは著者のせいではない』という留保が定冠詞のように付くことになります。それはその通り。著者は芸能人であり、テレビなどで一挙手一投足をチェックされるスターは、スキャンダルから文筆能力までを〝ウリ〟にできる。潜在販売力を持つスターに文学界がすり寄ってゆくのは自然なことですが、軸が揺らいでいるのはスターの方ではなく、文学業界の方でしょうね。
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