連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第03回)をアップしました。クーマングスさんの取り調べが始まるやうです。カミングスはフランス人は発音しにくひ名前のやうですね。カミングスは一般には抒情詩人として知られますが、骨太な作家です。抒情詩を書いているからなよなよしているというのは偏見といふか、誤解ですね。むしろ抒情詩人の方が生活者としてしっかりしていて、頑固なお方が多いものです。
詩人とはどういった人たちなのかについては、様々なイメージが世に溢れています。一番ティピカルなのは〝夢見る人〟といふイメージです。要はボーッとしていて浮き世離れしている人。あるいは裕福で浮き世離れしていられる環境にいる人です。だから『彼は(彼女は)詩人だね』という言葉は、『ちょっとバカかも』といふ揶揄を含むことになる(爆)。このイメージはどうも19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで始まったようです。サンボリストは寡作で、裕福ではなかったけど、生活に困っている詩人は少なかった。作品が少なく難しいことを考えているようなので、浮き世離れした人たちというイメージが出来上がったようです。ただ前時代のゲーテなんかは、すんげぇ量の仕事をしています。
このバカらしい詩人のイメージに、真っ向から対立するイメージを持っているのが20世紀初頭に現れたアメリカのモダニスト詩人たちです。パウンドは『ABC of reading』などで、詩人らしいアトモスフィアを振りまく詩人たちを激しく攻撃しています。簡単に言うと、詩人らしい格好をして、詩人らしい話し方をして、詩人らしい詩を書く詩人が大嫌いで、そんなヤツらはエセ詩人だと言っております(爆)。
じゃあパウンドの考える詩人はどういう人たちだったのかというと、一番近いのが〝農夫〟。朝起きて夜まで言葉の畑を耕し続け〝労働〟する作家です。サンボリズムの影響を受けたヨーロッパ詩とはぜんぜん違う詩に対する考え方をアメリカの詩人は持っていた。これも簡単に言えば〝メタ言語など存在しない〟という、当たり前と言えば当たり前の現実主義です。詩人は霊が見えるとか聞こえない音が聞こえるとか、見えないものが見えるとか言い出したら終わりです。だって詐欺だもの(爆)。カミングスやパウンドらは、農夫のように詩で仕事をし続けた作家さんたちなのでありますぅ。
■ 連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第03回) 縦書版 ■
■ 連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第03回) 横書版 ■
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