大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第七回 新しい黒』をアップしましたぁ。みなさまメリークリスマスです。けふがホントのメリクリ日なんですね。うかつな石川はあんましよくわかっていなかったりします。んで大野さんは映画の黒について論じております。具体的にはフィルム・ノワール論です。
「ドニー・ダーコ」は、表面的には怪奇幻想の物語ではあるが、本質のところでフィルム・ノワールの精神を色濃く受けついでいると言えるかもしれない。物語の世界はアメリカの原風景とも言えるフォルクロア的な世界と密接に結びついている。そこには(中略)様々な化物じみた住人たち、例えばインディアンや魔女、殺人者などの影がちらつく。彼らはヨーロッパでは田舎の古城や森のなかに暮しているが、アメリカではごくふつうの住宅の寝室や、裏庭に息をひそめているのである。また(中略)アメリカのそれは現実社会や科学の領域にまで図々しく足を踏み入れる。(中略)主人公のドニー・ダーコも、ふとしたはずみにそのような世界に巻き込まれ、現実世界との連絡を失ってゆく。それは一見、彼が社会に取り残され、他者と関わりを持つことができずにいる、典型的な現代のアメリカ人であることを示しているようにも思われる。しかし実際のところ、彼はそのように豊かでありながらも寂しいアメリカを、よろこび勇んで脱出したのかもしれない。
(大野ロベルト)
アメリカ人のパブリック・イメージは陽気ですが、アンケートをとると半数以上が自分は内向的人間だと答えるそうです。まー内面は日本人とほとんど変わらないわけですが、一種の社会的要請としてアメリカ人であることを演じているとも言えます。フィルム・ノワールの初期作品にアメリカ映画が多いのも、そういったアメリカのアウトサイドとインサイドの違いから生まれているのやもしれませぬ。じっくりお楽しみください。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第七回 新しい黒』 ■
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