原作・小原眞紀子、作・露津まりいさんの新連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第01回)をアップしました。これまでに露津まりいさんのサスペンス小説『贋作師-フェイク・マスター』と『香獣』をアップましたが、実はこの二作品も原作は小原眞紀子さんです。小原さんは『はいから平家』、それに現在連載中の『神違え』という純文学小説をお書きになっていますが、ちょっと毛色の違うサスペンスに関しては露津さんと共同制作されています。
文学金魚は総合文学メディアですが、小原さんは総合文学を実践されている作家です。元々は詩人ですが、小説も評論もお書きになる。またたいていの詩人の小説はファンタジー系になりがちですが、小原さんの小説はそうではない。詩、純文学、エンタメ小説、評論の原理的なあり方を踏まえた上で作品を書いておられる。そういった原理主義的な姿勢を石川は高く評価しています。
小原さんは常々『自由詩から出発した作家は、できるだけ自由であるべきだ』とおっしゃっています。もちろん徒手空拳の自由などありません。詩人はよく〝ジャンルの越境〟ということを言いますが、それは詩のような小説を書いたり小説のような詩を書くことではありません。詩と小説といったジャンルの壁は絶対に乗り越えることはできない。ジャンルの越境とは、詩と小説といったジャンルの原理を押さえた上で、それぞれのジャンルで絶対的な結果を残すことです。
昔大江健三郎さんが、『詩人で小説を書いた作家は多いけど、ろくな作家がいないじゃないか。プロの小説家以下だ』という失言をしたことがありますが、石川も本音を言えばそうだと思います。また逆も真なりです。なぜそんなことが起こるのかと言えば、各文学ジャンルの本質を掴んでいないからです。小説の方が儲かるからそちらにシフトしたというのでは、作家個人の利益になっても文学全体にはまったく寄与しない。各ジャンルの原理(最も純なるジャンル原理)を把握した作家が現れれば、文学業界は必ず変化します。
もちろん現世のしがらみはきついです。どんな作家も、なにかのしがらみに片足取られて仕事をしています。ただ詩人は小説で出発した作家よりも、現世のしがらみから抜け出しやすい環境にいると思います。文学金魚的総合文学パラダイムをリードしてくれるのは、恐らく詩人たちでしょうね。またその牽引力が、世間的話題という意味でも経済的意味でも、文学業界のメインストリームである小説業界を変えてゆく力になるのではないかと石川は期待しています。
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■ 原作・小原眞紀子 作・露津まりい 新連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第01回) テキスト ■
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第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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