小原眞紀子さんの連作詩篇『『ここから月まで』第05回 果/靴/球』をアップしましたぁ。抒情詩ですが寂しげであり、クスッと笑ってしまふところもあります。
男の子は球を追っかけ
転がる方向で考える
ばかだからだと
女の子は言う
そうかもしれない
身体の外に脳みそがあって
球が転がると
あっ、と走っていく
行ったり来たり
球といっしょに目線がゆれて
日が暮れる
夜は寝る
(小原眞紀子 詩篇『球』)
書き文字に性差はないのですが、やっぱり作者が男性か女性か意識してしまひます。もそっと正確に言うと、男性か女性かはっきりすると、なにかが分かったような気がする。ただ小原さんはあえて中性的に書いている気配があります。女性性によりかかった方が何かと得といふか便利なのですが、どーもそれを拒否しておられますね(爆)。
ただそれは、詩が男性詩人によってリードされてきたといふことを意味しません。小原さんが書いておられるように男は多かれ少なかれ観念的動物で、『球を追っかけ/転がる方向で考える/ばかだからだ』といふわけです(爆)。この流れと並行して、ほとんど論じられることなく、ストリームとして明確にされて来なかった明治維新以降の女性の詩の流れがあります。でもそれをはっきりさせることができる詩人は今まで現れなかった。小原さんの中性的な書き方、そのスタンスは、そういった流れを明確にできる詩人のそれかもしれません。
■ 小原眞紀子 連作詩篇 『『ここから月まで』第05回 果/靴/球』 pdf版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇 『『ここから月まで』第05回 果/靴/球』 テキスト版 ■
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第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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