佐藤知恵子さんの文芸誌時評『No.020 オール讀物 2015年06月号』をアップしましたぁ。田口ランディさんの『ピクニック』と、坂井希久子さんの『HERO』を取り上げておられます。田口さんの『ピクニック』は、息子を新興宗教教団に取られた(息子は自発的に入信したわけですが)夫婦のお話です。オウム真理教がモデルになっています。大衆エンタメ小説は、大衆の興味に敏感なジャンルですから、社会的大事件をテーマやバックグラウンドにすることが多いです。オウム事件や東日本大震災はその典型的なものです。
ただそういった小説の場合、事実との兼ね合いが難しくなります。社会的大事件をモデルにすればするほど、読者はそれなりに情報を持っているわけですから、新しい事実や解釈を求めがちです。また作家の方も、読者の興味を惹きつけるツカミとして社会的事件を扱っている側面が確実にある。佐藤さんは『『ピクニック』は専業主婦のビルドゥングスロマンですわね』と批評しておられます。それが作品主題だとすれば、必ずしもオウム事件をモデルにする必要はありません。社会的大事件がバックグラウンドでない方が、作品主題がはっきりするかもしれません。ただしツカミはなくなる。難しいところです。
坂井希久子さんの『HERO』は、たまたま石川も読んでおりました。坂井さんは、この手の小説もお書きになるのかと感心しました。世の中には女性小説と呼んでもいい小説カテゴリーが確実にあります。小川洋子さんの『薬指の標本』などが典型的でしょうね。この小説、多くの女性読者を惹きつけ、男性読者はたいていなんの感想もなく素通りします。女性読者の心をつかみたいなら、男性作家は研究してみる価値ありかもです(爆)。坂井さんの『HERO』も、そういった女性小説の秀作の一つでしょうね。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.020 オール讀物 2015年06月号』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・場所:近日中に発表します
・参加費:3.500円
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!