星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第26回)をアップしましたぁ。光源氏は物思いに耽っております。ちょっと憂鬱なんですね。正妻である葵上の元には滅多に足を運ばない。婿殿は気詰まりで行きにくい。とはいえ熱心に口説き落とした六条御息所への情熱も萎みがち。
その理由は御息所の激しい嫉妬に辟易していたこと、御息所との年齢差(光源氏の方が年下)が微妙に影響していることなどです。御息所、気位の高いお方ですから、なんとなーく気後れしてしまうのです。んで光源氏、女房にちょっかいを出します。朝顔のような貴女の元を離れがたいなーと。しかしそんなこと言ってないで、御息所ともっと心を通じ合わせなさいよとフラれてしまう。それを見ていた妾が朝顔を手折り始め、あ、これりゃもうアカンと退散したわけです。ただま、単に光源氏が浮気者ということではありません。
この時代、女は基本、屋敷から動かない。男が動いて波風を立てるしかない。それが物語を生む。しかし『源氏物語』の、少なくとも光源氏の行動は色好みではあっても身勝手ではありません。むしろ女たちに振り回されながら、自己の力によって女たちの落とし所を探っています。でも毎回毎回うまくいくわけではありません。『夜顔(夕顔)』の帖が有名な理由ですね。
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第26回)縦書版■
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第26回)横書版■
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