山際恭子さんのTVドラマ批評『No.085 She』をアップしましたぁ。フジテレビさんで土曜日夜11時40分から放送されているドラマです。学園一の美少女が姿を消し、彼女の親友が失踪の理由を探るといふストーリーです。松岡茉優さん主演で中条あやみさんらが出演されています。サスペンス調の謎解きドラマであります。
山際さんは、「「行方不明」というあやふやなペンディングは、プロットをむしろ弛緩させてしまう可能性があるのだ。これを避けるには、その「行方不明」自体がかなり危機的な、つまりすでに死んでいると濃厚に疑われるといった状況である必要がある。・・・「She」は残念ながらそこのところが弱い。「いない」という事態に対する確信がないように見える。その確信とは、作家の確信でもいいし、すでに故人であるという事態の作り方でも、誘拐されて殺されている可能性の濃厚さという残酷であっても、作品の強度を増すという意味では同じである」と書いておられます。不肖・石川も同感だなぁ。
失踪した少女が生きているといふ設定なら、よほどスキャンダラスな事情でない限り、もはや視聴者は納得してくれないと思います。日本のドラマ・テレビはおしなべてそうなのですが、特に清楚系美人女優さんが出演される場合、そのパブリックイメージ通りのシナリオになりがちです。つまり見ている側は、この女優さんならそうスキャンダラスな事件は起きないだらうと予想してしまふ。あくまでフィクションの世界のお話ですが、失踪少女が亡くなっているといふ設定の方が、プロットを思い切ったものにできる可能性が高いと思います。
ちょい前に田山了一さんが批評なさった『No.083 マジすか学園4』は、美人やアイドルや清楚といったタレントさんのパブリックイメージを逆手に取ったドラマです。フィクションをフィクションとして提示しておいて、ある本質的なものを見る人に喚起させるといふ仕組みを持っています。今は〝アイドルといふお約束〟でパブリックイメージができあがっている時代です。中途半端なベタなドラマ展開は通用しにくいでせうなぁ。ベタなら徹底してベタにして、従来のベタ展開をメタ化する必要があると思いまふぅ。