小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第04回 バーバリの真実/羊飼いたちの沈黙/バケツを忘れる』をアップしましたぁ。今回も魅力的なショートショート作品3本です。内2本でセックスを含む男女関係が書かれているわけですが、その処理方法も上手いですね。
映画、写真、小説でも同じですが、セックスとか性に関連するイメージや文章は人間の記憶に残りやすい。それを利用しないテはないわけで、多くの作家はセックスを男女関係の終着点や転換点に設定しますが、小松さんの処理は淡々としています。でもやっぱり読者の記憶に残るので、だからこそセックス以外の男女関係(人間存在)についての記述が際立つわけです。
3本目の『バケツを忘れる』は小松さんが「この話は『小さじ一杯の答え』『スカートをぶつけた日』の続編に当たります」と書いておられるやうに、ニワさんと文学君を主要登場人物にする連作です。こういった連作中連作は川の流れの中に点々と存在する岩のやうなものです。飛び石伝いに何かの流れを語ってくれます。小松さん、お若いですがけっこう老獪な作家さんでありまふ(爆)。
■ 小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第04回 バーバリの真実/羊飼いたちの沈黙/バケツを忘れる』 pdf ■