『第1回 辻原登奨励小説賞受賞作 三澤楓『教室のアトピー』 講評と受賞の言葉』と三澤さんの受賞作『教室のアトピー』(第01回)をアップしましたぁ。三澤さんは23歳の新鋭作家です。今日から4日間にわたって受賞作『教室のアトピー』を掲載します。
三澤さんの『教室のアトピー』については辻原登さんの『講評』をお読みいただけばと思います。辻原さんは『この短篇レベルのものを読ませてもらえるなら、書き手に未来はある』と書いておられますが、その通りだと思います。
文学の世界、特に純文学を取り巻く環境は厳しさを増しています。芥川賞のように社会的に有名な賞を受賞しても、執行猶予5年から10年――その間に売れる本かプロの作家たちを深くうならせるような作品を書かなければ、本が出なくなるのはもちろん、発表場所すらなくなってゆくのが現実です。
その一方で従来のような純文学と大衆文学の垣根が崩れ始めています。また本の出版形態や発表場所も多様化し始めています。新人作家が頭角をあらわし、活動してゆくためのプラットフォームは従来より確実に増えているわけです。しかし文学である限り、常に〝優れた作品〟が中心に存在していなければならないのは言うまでもありません。
三澤さんは大衆文学的要素を純文学的文体で処理することができる優れた新人作家です。スタートを切ったからにはたゆまず書き続け、道を切り拓いていっていただければと思います。文学金魚は全力でサポートさせていただきます。
■ 第1回 辻原登奨励小説賞受賞作 三澤楓『教室のアトピー』 講評と受賞の言葉 ■