遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第32回)をアップしましたぁ。『三四郎』といふ作品はなんやかんや言って主人公三四郎と美彌子ちゃんの関係が焦点ですね。つーかどうしても気になる。三四郎が優柔不断だからでもありますな(笑)。
でもま、小説という表現では女性が男に振り回されると悲惨なことになるケースが多いですが、女性に振り回される男はなんとなく愛すべき感情が生じてしまう。美彌子ちゃんは高嶺の花といふわけではごぢゃりません。当時の制度として学生の三四郎が美禰子ちゃんと結婚できる可能性はもの凄く低い。んで美禰子ちゃんは結婚適齢期に差し掛かっている。三四郎が大学を卒業して経済力をつけるのを待ってられないんですね。
漱石先生は恋愛で〝赤い炎〟といふ比喩がお好きでした。『三四郎』には『三四郎はまた暖かいふとんの中にもぐり込んだ。そうして、赤い運命の中で狂い回る多くの人の身の上を忘れた』といふ記述があります。よーするに本当に恋愛で苦しんだことがないウブな青年といふことです。次作の『それから』で作品の最後にまた〝炎〟が出て来ます。こちらは本当の苦しみです。読み比べると面白いかもです。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第32回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第32回)横書版■
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