小原眞紀子『文学金魚らじお Web3.0時代のコミュニティ(4) 本とNFT』をアップしましたぁ。今回は本についてです。正確には本とNFTとの関係ですね。まず本ですが、これについては様々な定義が可能です。ただ文学金魚はWeb文芸誌なので、本といっても文芸関係の本のことです。文芸本も情報を伝えるわけですが、ノウハウ本などと違って情報以上の何かが付加されていなければ文芸の名に値しません。小原さんはそれをひとまず〝時間性〟と定義しておられます。
読者にとって本(本棚)は「自分の人生の時間、楽しんできた時間、そして形作られた精神の地図としての本棚の背表紙の眺めというのがある」。それは作家(書き手)にとっても同様で、著作は「時間の象徴として形になった」ものです。そして作家は本という形で「何かが永遠に残るっていうのを夢見て」いる。物理的な本というだけではありません。精神的なものであり、それがNFTに繋がってゆくのではないかというのが小原さんのお話の主軸です。
NFTはまだ創生期ですが暗号資産(仮想通貨)にとても近い性質のものです。国家などのオーソリティがその価値を保証するのではなく、世界中の基本的には個人がその価値を保証し決めてゆく。もちろん電気が使えなくなれば消えちゃうじゃないかという不安はあるわけですが、それは世界の終わりに近い話なので考えなくていい。現代社会が続く限り、NFTは衆人環視の〝モノ化〟する可能性が高い。そういうモノ化する文学的NFTを作り出せないのか、作り出してはどうか、そうすれば本という物理的な形を越えて本の本質が明らかになるのではないか。そういったことをお考えになっているようです。Web上のデジタルデータは今後ますますその機能を高めてゆくわけですから、必ず従来的な本の概念をも取り込んでゆくでしょうね。
■小原眞紀子『文学金魚らじお Web3.0時代のコミュニティ(4) 本とNFT』■
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