遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第30回)をアップしましたぁ。美彌子ちゃん完結編といったところです。『虚構探偵』に沿ってバーチャルに『三四郎』を体験してゆくと、この作品、けっこう複雑だということが分かります。ま、いちおう文豪の作品ですから当たり前って言えば当たり前なんですが。
漱石の青春小説は『坊っちゃん』と『三四郎』しかないわけですが、『坊っちゃん』に若い女性はマドンナしか登場しておらず、しかも彼女の存在感はとっても薄い。ドラマでは無理矢理大きく取り上げられたりしてますが。それに対して『三四郎』では美彌子ちゃんが準主役になっています。三四郎はもちろん主要登場人物たちが彼女に注目しています。
世の中男と女しかおらず、小説は俗世を描くものですから男女関係が主題になることが多いわけですが、漱石さんの美彌子の描き方、やっぱうまいですね。三四郎を揺らし、作品全体を揺らすファクターとして機能させている。純とも言えるし未必の故意の悪女とも言えますが、悪女的側面はやっぱ結果論というべきでせうね。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第30回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第30回)横書版■
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