第14回金魚屋新人賞発表【受賞】萩野篤人「アブラハムの末裔」(評論)をアップしましたぁ。金魚屋新人賞では初の評論での受賞です。辻原先生が総評で書いておられる通り「やまゆり園障碍者殺傷事件」が題材です。小説ではないので文学金魚奨励賞での受賞ですが、満場一致での受賞でした。
文学業界全般が低調であるため、創作よりもさらに文芸批評が苦しくなっています。文芸誌を読んでいても小説批評はあまり掲載されません。文芸誌で批評の新人賞をもうけているメディアも少ない。詩の世界では相変わらず盛んに批評が書かれていますが、うーんどうだろうなぁ。まあハッキリ言ってギョーカイ状況論がほとんどですねぇ。1、2ヶ月前に編集部から与えられた「お題」で書き飛ばしているのだから当然。小説系の文芸批評に比べても時間と労力がかかっていない。
ただ小説系文芸批評でも、単純な○○作家論、○○作品論ではなかなか苦しいのではないかと思います。読者が食いついてくれるポイントを探す必要がある時代だからです。批評は要するに〝為になる〟から読まれる。少なくとも文学好きの人が読んで為になると思わないと最低限のハードルをクリアできない。なぜ○○作家、○○作品が重要なのかという動機付けとそれを納得させる批評家の強い思想が必要です。
萩野さんの評論は社会問題を取り扱った上での文学論です。石川も読みましたが一種の神学論です。神学というと上滑りになりやすいですが、「アブラハムの末裔」に関しては辻原先生がお書きになっているように〝肉体的思想〟がある。これは強いですね。文学好きだけでなく一般読者にも強く訴えかける内容ある評論です。
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