遠藤徹さんの連載マンガ『キノコの森』(第03回)&連載小説『物語健康法(入門編)』(第13回)をアップしましたぁ。『キノコの森』はとっても遠藤さんらしいマンガです。ホラー小説家でもありますから、この作家、意外と冷たいというか残酷なんですね。もち人間性が冷たく残酷だという意味ではありませんよ。何かの本質を描く際に、底の底まで見ることがある、ということです。それが突き放したような表現になる。
『物語健康法(入門編)』の方は『キメラ猫(後編)』です。ヒール役(登場人物)の海原の内面がじょじょに明かされてゆきます。海原が求めるのは現世の文学界での出世ですが、それだけではありません。海原は言霊使いでもあります。『言霊は《公》の力だからな』とあるように、それは本来公的に使われなければならない。それをわたくし化しているわけです。ただそれは言霊に力があるということでもありますね。で、物語健康法とは何かをもう一回おさらいです。
わたしに、あなたたちをプロの作家にする能力はありません。(中略)もう一度繰り返しますが、この本はあくまで「健康法」を説くものです。自分のなかから物語をくみ出し、それに形を与えて表現する、そういう前向きな意志的活動、想像し創造するというクリエイティブな営為を通して、生きるエネルギーを増幅し、心身の健康をもたらそうというもくろみです。たくらみです。たのしみです。
(遠藤徹『物語健康法(入門編)』)
詩人や小説家になるのは特殊な能力と、長い時間にわたる特殊な訓練が必要です。事実としてほとんどの文学青年・少女が作家にはなれないわけですが、作家になるのが目的というのは正しいのか、作家になれなかったのは単に挫折なのかを今一度考えてみる必要があるでしょうね。
まあちょっと言葉は悪いですが、作家と呼ばれる人たちは、作家にしかなれなかったかわいそうな人たちでもあります(笑)。特殊な職人の一面があるんですね。ただ創作すること、新たに物を作り出すことは、世の中でとても必要で大切なことです。文学=物語はそれを人間に教えてくれるツールでもあります。
自分で物語を作り何かを生み出すことは、商品を消費するコンシューマーの位置からクリエイターの位置へと人の意識を変えるきっかけになります。それは文学の世界以外にも援用可能です。石川は何度も言っていますが、文学者、今じゃそんなにお気楽でも儲かる商売でもありません。それでもという作家はWelcomeですが、文学や物語という手軽なクリエイションの力を使って、いろんな方向に才能を伸ばせる人は、伸ばした方がいいとも思うのでありますぅ。
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第13回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第13回)横書版 ■
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