小原眞紀子さんの連載エセー『詩人のための投資術』『第二十三回 相場を張る―逆張りのロジック』をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの経済エッセイです。
文学金魚は文芸メディアとしては珍しく、お金の話がけっこう出ます。小原さんの『詩人のための投資術』もそうですし、オール讀物時評の佐藤知恵子さんもしばしばお金の話を書いておられます。じゃあお金に執着があるのかというと、そうではありません。たいていの人はお金の話をあまりしたがりませんね。デリケートな話題であるのはもちろん、ほとんどの人にとってお金が目的ではないからです。欲望や目的は様々でしょうが、お金はなにかを実現するための手段です。
文学者の場合、本が売れればお金が入ってくるわけですが、そのメリットは取材にお金をかけられる、雑文を書かなくても済む、ストレスなく本を出版できるなどです。もちそれほど本が売れなくてもお金があれば自費で出版することもできます。これからどうなるかわかりませんが、現状では紙の本として著書を出しておきたいと望む作家が大半でしょうね。
もちろん文学の世界で頭角を現す時と同様に、お金が欲しくても誰かが親切に手を差し伸べてくれるわけではありません。誰もが自分でなんとかしなければならない。ただ人間の生活にはお金がついてまわります。作家という仕事は、特に純文学ですと、自分のために書いているのか読者を楽しませるためなのか曖昧ですから、スパンとお金儲けのためですとは言い切りにくい。両方に足がかかるから文学者はお金で苦労するわけです。だったらお金の問題は文学と平行してできるだけ解消しましょ、というのが小原さんの『詩人のための投資術』の主意だと思います。
しかし人間の活動は経済の分野でもある意味文学的要素を含みます。小原さんは『結局、市場とは膨大なメンタルの集積である。市場に自身のメンタルをすり合わせる術に長けた者こそが、テクニカルの優れた使い手とよばれるようである』と書いておられます。厳しい市場だからこそ人間のメンタルが重要になるのであり、文学者は経済に興味を持ってもやはりそこを見るのです。
■ 小原眞紀子連載エセー『詩人のための投資術』『第二十三回 相場を張る―逆張りのロジック』 ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 金魚屋の本 ■