片島麦子さんの連載小説『ふうらり、ゆれる』(第07回)をアップしましたぁ。今回は笹信さんといふ、ちょいと生意気といふか、物怖じしない新人社員が登場します。会社ではアルアルですよねぇ。悪気はないし仕事もできるのですが、本人は無自覚のまま他人がドキリとするようなことを言ってしまう。『ふうらり、ゆれる』はこういった登場人物をピックアップしながら進んでゆきます。
『ふうらり、ゆれる』には確信がありますね。作家の書き方に確信がある。この物語、なにか人間の生の永遠を感じさせるところがありますが、それは物語の時間経過の早さから逆説的にもたらされています。こうやって人間は子供から大人になり老いてゆくのだとわかる。そしてそれは何度も何度も繰り返される。物語だけがそれを何度も描くことができる。そして本当の物語は『ふうらり、ゆれる』の古羊さんのような、平凡でささやかな生にあるのではないかと強く感じさせます。
ちょいと小説テクニックでいうと、『ふうらり、ゆれる』は基本三人称一視点で過去形の文体ですが、ときおり現在形が交じります。それはたいていの場合、古羊さんの描写にともなう現在形です。よくあるテクニックといえばそうなのですが、『ふうらり、ゆれる』ではそれがとても効果的です。古羊さんは永遠の女性なんですな。ある種の女性性の本質が描かれている作品だと思います。
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第07回)縦書版 ■
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第07回)横書版 ■
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