連載翻訳小説 e.e.カミングズ著/星隆弘訳『伽藍』(第27回)をアップしましたぁ。『第四章 新入り』の続きです。収容所の中でもやっぱりお金がモノを言うんですね(笑)。日本の刑務所は規律が厳しいけど、映画を見ていると、アメリカなどではかなりいろんな物が買えるものなぁ。
アメリカ文学の特徴はザラザラとした現実主義にあります。同じ英語圏でもイギリスには英雄譚を含むファンタジーの系譜がありますが、アメリカにはそれがない。といふか紅茶を排除してコーヒーを好んだように、ヨーロッパ的ルーツをそのまま取り入れたりしません。アメリカ文学ではファンタジーよりSFですね。現実に基づくファンタジーといふわけです。
詩でも小説でもアメリカ的現実主義文学は日本ではウケがあまりよくありません。イギリス、フランスといったヨーロッパ文学の方が日本人には相性がいいんですね。ただアメリカ的現実主義文学は、現実を裸眼で見つめるような厳しさがあるからこそ、未来を見通しているようなところがあります。
現実世界で人間がとことん追いつめられるとどーなるのか。嘘をつくか、本当のことを言うか、どちらかですね(笑)。アメリカ文学にはそういった人間心理、人間存在の真理が表現されています。そして高度資本主義社会の端緒になったのが、空前絶後の好景気で、しかも初めて第一次世界大戦という対外戦争に参加した1910年代、カミングズの『伽藍』の時代です。
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第27回)縦書版 ■
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第27回)横書版 ■
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