星隆弘さんの神奈川近代文学館 特別展『寺山修司 ひとりぼっちのあなたに』をアップしましたぁ。文学者の展覧会でも寺山修司とか唐十郎はやりやすいですね。やっぱ展覧会ってヴィジュアルに訴えかける要素がないと面白くない。原稿や万年筆じゃ、なんだかな~なのです。美術コレクションが展示されていても、よほど作家と美術が結びついていないとピンと来ない。寺山さんは演劇人ですから展示物に困らないですね。
寺山さんって、ちょっと昔の太宰治化してます。石川くらいの世代は中学から高校くらいで太宰を読んで、大学に入る頃にはハッキリ卒業したという感覚がありました。太宰治ってフィクショナルな私小説作家です。そして超俗物。それが魅力といえば魅力ですが、太宰作品をたくさん読み続けていると、彼が叙情的に読者を煽っている手つきが透けて見えてくる。マジックの種がわかっちゃったような感じになるんですね。そうするともういいか、になる。
寺山さんも、いつまで経っても若い人に人気です。でも石川より上、寺山さんと同世代の人たちになると『寺山さんね、むふふ』です。この方も超俗物でした。有名になりたくてなりたくて走り回った。もち実力があったから今世間に知られているわけですが。チンドン屋であったのは否めない。歌人は俳人でしょと言い、俳人は歌人じゃないの、詩人は寺山さんは演劇人だよと言う。マルチジャンル作家とは言えますが、どれも中途半端かもしれない。
んで寺山さんの幼年時代の回想はほぼ全部フィクションですな。彼にとって唯一切実だったのはお母さん。有名になりたい病もお母さんの息子への願望実現だったのかもしれない。でも母親を愛しながら憎悪したところが寺山さんの面白いところ。ハツさんは『修ちゃんはわたしを何回殺したかわからない』と言っておられたそうです。と、書いてくると寺山はやっぱ魅力的か。是非展覧会に足をお運びください。
また現在世田谷文学館で『筒井康隆展』が開催中です(12月9日まで)。筒井先生も小説家というだけでなく、劇作家で役者です。また大変サービス精神旺盛な作家さんです。こちらもヴィジュアル要素ふんだんの楽しい展覧会になっています。筒井先生をお招きしての各種イベントも開催されますので、詳細は世田谷文学館HPでご確認ください。
■ 星隆弘 神奈川近代文学館 特別展『寺山修司 ひとりぼっちのあなたに』 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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