連載翻訳小説 e.e.カミングズ著/星隆弘訳『伽藍』(第17回)をアップしましたぁ。『第四章 新入り』です。カミングズは抒情詩人で晩年は宗教詩人でもあったわけですが、処女作の『伽藍』はちょっと違ったテイストです。戦争中のお話で牢屋の中の話でもあるので乱暴な言葉が交わされていますが、あえてヨーロッパ戦線をヤンキー色に染めようとしている気配がありますね。パウンドが書いたようにこの時代のアメリカは『野蛮な国』であったわけですが、その分勢いもあった。気取ってんじゃねーよヨーロッパ、といふところでしょうか(笑)。
アメリカという国の面白さは徹底的な物質主義にあります。世界的に貧富の格差が問題になっている昨今ですが、アメリカに関して言えば、恐ろしいほどの貧富の格差が存在しなければアメリカ文化は魅力を失ってしまう。アメリカで貧富の格差が激しいのは今に始まったことじゃないのです。生まれながらの富裕層という人もいますが、一発逆転が可能で、誰もがリッチになれる可能性があるからアメリカ的貧富の格差が許容されているのだとも言えます。
もちろん誰もがリッチになるこをと目指し、富を得た者が勝者であるアメリカ社会はギスギスしています。ものすごくストレスの大きい社会です。ただアメリカで〝富を得ること〟が国是になったのは20世紀初頭くらいからでしょうね。第一次世界大戦がモンロー主義からの転換点になり、二次大戦が今にまで続く現代世界のスキームを作り出したわけですが、その土壌になった精神は文学作品を読むことで理解することができます。ロスト・ジェネレーションの作家たちの作品は、現代世界の精神土壌を表現してもいるわけです。
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第17回)縦書版 ■
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第17回)横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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