田山了一さんのTVドラマ批評『No.180 THE WIRE / ザ・ワイヤー』をアップしましたぁ。アメリカのケーブルテレビ放送局HBOが製作したドラマです。日本ではまともなオリジナルドラマを作れるのはまだWOWOWくらいですが、さすが国土が広くて人口の多いアメリカ、ケーブルテレビでもふんだんに予算をかけた連続ドラマが作れるようです。『THE WIRE』はボルティモア警察と黒人麻薬ディーラーの戦いを描いたドラマです。ボルティモアはワシントンD.C.とニューヨークに挟まれた東海岸の大都市ですね。ただワシントンやニューヨークに比べて疲弊の度合いが強いようです。
田山さんは、『『THE WIRE』は今から十年ほど前のドラマだが、トランプ大統領が選出された時に話題になった〝ラストベルト(錆びついた工業地帯)〟がイヤというほど映し出されている。金持ちは金融系に集中し、製造業や運搬業の人々は不況に喘いでいる』と書いておられます。登場人物の一人が言う『この国は昔はモノを作っていた。みんな働いて金を得ていた。それが今じゃ、他人の懐にある金を奪うことがこの国のビジネスになっている』という言葉が、『THE WIRE』の基本的なテーマになっているとも批評しておられます。
『THE WIRE』はカタルシスがなく、絶望的なアメリカ現代社会を描いたドラマですから、今後もなかなか地上波では放送されないと思います。しかしネット配信TVが一般化すれば、こういった一般受けしなくてもリアリティのあるコンテンツを、わたしたちはますます目にする機会が増えるでしょうね。
アメリカを見ていればわかりますが、全国ネットのTV局の力は絶大です。しかし有料配信コンテンツが浸透し、多くの視聴者の精神に影響を与えています。日本でも同じことが起こるでしょうね。出版に限らずどのジャンルでも生き残りをかけた再編が行われてゆくことになるわけです。
■ 田山了一 TVドラマ批評 『No.180 THE WIRE / ザ・ワイヤー』 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■