大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『No.112 尾形牛馬「酒のかなたへ」(文學界 2017年04月号)』をアップしましたぁ。第47回九州芸術祭文学賞受賞作の尾形牛馬さん「酒のかなたへ」を取り上げておられます。大篠さん、激賞です。アルコール中毒体験を描いた私小説ですが、大篠さんは『ここまで思想をえぐり出せば、少なくとも文学として価値がある。小説は読むに値する何事かが書かれていなければ表現する意味がない』と批評しておられます。尾形牛馬さんの「酒のかなたへ」には、生死の境を見た人の思想が表現されているということです。
小説家として頭角を現す方法はいくつもあります。新人賞受賞はその最も一般的な道筋です。ただ当たり前ですが、有名文芸誌の新人賞を受賞したからといって将来が保証されるわけではありません。小説家はどこから出てきてもいいわけですが、最終的には書き続ける能力があること、本が一定部数売れることが作家の社会的活動を安固なものにします。
新人なら誰でも最初は「版元の力で本は売れるはず、作家として一人前になるまで育ててもらえるはず」と考えると思いますが、それはどうかな。新人賞作家は自著の出版というチャンスをもらいやすくなりますが、将来はその結果(売り上げ)次第です。またそこで作家として考え抜き工夫する自助努力を重ねなければ育ってゆきません。基本的に文学の世界も一般社会の仕組みと同じ。一歩一歩地道に力をつけてゆくほかないのです。
ただ人間の能力なんて紙一重です。そりゃぁ図抜けた能力を持った人はどのジャンルにもいますが、ある程度の水準にまでは多くの人が達する可能性がある。そこから頭一つ抜ける人だっている。厳しい場所に自分を置くことですね。そうすれば新しいヴィジョンや未来の水辺線が見えてきます。
■ 大篠夏彦 文芸誌時評 『No.112 尾形牛馬「酒のかなたへ」(文學界 2017年04月号)』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■