原作・小原眞紀子、作・露津まりいさんの連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第18回)をアップしました。第10章『肉体と液体をガトゥ型へ』(前編)です。いよいよ大詰めに近づいてまいりました。小原・露津コンビの作品には追い込みとどんでん返しがありますからすんげぇ楽しみです。人間、追い詰められた時が勝負なのです(爆)。
ところで第5回金魚屋新人賞の締め切りが近づいてまいりました。第4回は受賞作なしだったので、今回はぜひ素晴らしい新人作家の方を見出したいと思います。もち金魚屋新人賞は作家の今までの実績不問ですから、キャリアのある作家さんも大歓迎です。締め切りは、3月31日です。
新人賞がいわばまっさらな新人の発掘を目的にするのは当たり前ですが、金魚屋が既存作家の応募も期待しているのは理由があります。ある程度文学の世界を知っていて、苦労している作家の〝攻めの場〟としても金魚屋を活用していただきたいからです。
この編集後記で何度も書いていますが、現状の文学出版はとても厳しい。実態として、作品を掲載してもらうためにメディア編集部と粘り強く付き合い、載ったとしてもいろんな版元を走り回って、本を出してくださいとお願いして回っている作家さんはとても多いです。そんなことをしていたら一年二年すぐ経ってしまう。また本が出ても売り上げが思わしくなければ次の本は出にくい。これは版元だけが悪いわけではありません。作家も甘いのです。メディアに作品掲載する、本を出してもらうことを最終目標にしてはいけない時代です。最低部数売らなければならない。
それに気づいた作家は作品への取り組み方が変わってくるはずです。本気で売ろうと思えばそれなりの仕掛けをするはずですし、自信作なら自分の考えるとおりに勝負したいと望むはずです。作品にエンタメ的要素を入れても作家の表現欲求はブレないと思います。
金魚屋ではそういった、いわば新たな認識を持ったベテラン作家も求めています。ただショバを変えた方が新たなスタートはうまくいきやすい。なじみのあるグラウンドだと、ついつい今までの慣習に引っ張られがちになります。
出版の大枠は ① 作家が作品を書き、② 版元がそれを本にして、③ 取り次ぎを通して、④ 全国の書店に配本するのが基本です。今のところ ① ② は変わっていませんが、③ ④ は変わりつつあります。ネット販売がかなりのシェアを占め書店が激減している状況を反映して、版元とネット販売会社は ③ の取り次ぎをスキップし始めています。ネット上での立ち読みやユーザーレビューなどが公平で充実したものになれば、まだまだ出版システムは変わってゆくはずです。
文学金魚では作家が作品を書き続け、本を出し続けられるシステムを作り上げることを理想としています。そのためにはキレイ事ではなく、新人・既存を問わず、作家さんには時には多少の節を折ってでも、現状を冷静に見回して認識を新たにしていただきたい。版元と作家が認識を一にして協力できれば、厳しい状況でも活路を見いだせると思います。
■ 原作・小原眞紀子 作・露津まりい 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第18回) (縦書)版 ■
■ 原作・小原眞紀子 作・露津まりい 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第18回) (横書)版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■