佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『No.117 北方謙三「声」(オール讀物 2017年04月号)』をアップしましたぁ。佐藤さん、『アテクシお仕事でけっこう新幹線や飛行機に乗りますの。一人の時は文庫本読んだりしますが、会社の同僚といっしょの時はそうもいきませんわ。現場のビジネスパーソンにとって、文学好きは基本的にはマイナス要素ね。現実遊離してるデキない社員って思われちゃう可能性があるの。文学いっぺんとうの方は納得いかないと思いますが、今は文学どころじゃない時代なのよ』と書いておられます。石川は文学系の編集者ですけど、まったくそーだなーと思います(爆)。
ちょい前に、情報化時代ってピンポイント検索の時代だといふ意味のことを書きました。検索ピンポイントに引っかからなければどんなコンテンツもヒットは難しい。もちピンポイントが巨大メディアによって操作されることもありますが、意外なほどSNSの口コミ的広がりが強いのも現代の特長です。裏読みもまた情報化時代の特長です。誰もが本当に必要な情報を的確に得たいと思っている。
なぜそうなるのかといえば、情報量が多いから、みんな忙しいからと言わざるを得ないでしょうね。生活基盤を見ても、よほどの技術職でなければ終身雇用は風前の灯火です。転職が当たり前ということではなく、どの組織に行っても通用するスキルを持っていなければ転職すらできない。油断すればあっという間に置いてきぼりになる。一昔前はIT業界は7年先が予想できないと言われていましたが、今は5年に縮まっているでしょうね。
世の中の恐ろしいほどの厳しさに比べれば、文学業界はまだまだのんきです。ただのんきでいられるのは、恐らく近い将来崩壊するでしょうけど、まだ一世代くらいは逃げ切れるだろう、既存の文壇システムに所属している一部の作家だけだと石川は思います。若い作家は今の文壇システムを目標にしない方がいい。自殺行為です。自己の内面を探り、社会状況を見極めて、読者が必要不可欠だと感じるような作品をピンポイントで生み出せなければ未来はないと思います。見つめるべきは読者(市場)であって文壇や詩壇ではありません。
もちろんいつの時代だって作家志望の人間全員が作家になれるわけではありません。文学金魚新人賞受賞作家等々だって例外ではありません。気を抜けば5年くらいすぐ経っちゃうわけで、その間に〝誰かが〟新しい才能を持つ作家として新たに注目を浴びることになる。その上現代は文学への関心が低くなっている、読まなきゃならないと読者が動機付けされたピンポイント作品しか読まれなくなっています。文学の世界、端境期です。生き残りたいなら作家自身が認識を新たにしなければなりません。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『大衆文芸誌』『No.117 北方謙三「声」(オール讀物 2017年04月号)』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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