岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『No.078 西村麒麟(第七回北斗賞受賞作家 受賞第一作)(月刊俳句界 2017年03月号)』をアップしましたぁ。先頃芥川賞と直木賞の候補が発表されましたが、一般社会で少しでも話題になる賞は芥川・直木、それに本屋大賞、このミスくらいですねぇ。ただま、『火花』以降文藝春秋さんがしばらく話題作りできていないのも確かで、今回は気合いを入れて話題作りにも積極的な回になっています。上層部からゲキが飛んだのかな。まー石川のやうなすれっからし編集者は、いつものテだなぁとチラッと感じてしまふところなきにしもあらずです(爆)。
本が売れないのは世界的な傾向で、今年純文学で話題になったのはカズオ・イシグロさんだけぢゃないかしらん。ノーベル賞はいまだ話題性があり、本を売る力を持った賞です。だけどだんだんそんな力を持つ賞が減ってるのは確かです。谷崎賞、川端賞、野間文芸賞、三島賞など小説界には数々の権威ある賞がありますが、あらかじめよほど話題になっている作品か、作家が場外乱闘的に失言して面白可笑しく報道されない限り、受賞によってドーンとさらに本が売れることが少なくなっています。
賞が優れた作品に授与されるのは当たり前のことですが、それには二つの効果が期待されます。一つは話題になって本が売れ版元が潤うこと。もう一つは印税はもちろん著者の名前と作風が社会に知れ渡って、うんと仕事がしやすくなることです。この二点がきちんと機能していないと賞はあまり意味がなくなってしまう。どんな賞だって賞金などを出す母体があります。営利企業はもちろん、財団、社団や政府系だって、まあいってみれば様々な力関係で動いている。意地悪な人はそれを利権と呼ぶでしょうね。ただ本が売れ作家が注目される賞は社会から注目されその是非がチェックされますから、あまりムチャなことはできない。だけど注目されない賞では、ある団体や集団の中で賞が順繰りに回ってしまうことだってあります。
現状から未来を予測すると、石川は作家は賞に頼らない方がいいと思います。もそっと正確に言うと、他力本願的、あるいは宝くじ的に賞の受賞を期待して、本を売ってもらおうなどと考えない方がいいということです。本を売ることができる、つまり確実に読者を持つ作家なら、なんかの賞はいずれもらえるだろうくらいに構えていた方がいいということです。読者を掴む魅力的な作品を書くのが今の作家には一番重要です。
もちろん石川は文学金魚新人賞の選考にも関わっていますが、これはマジで新たな才能と感性を持った新人を見つけ出したいというのが目的です。石川の理想を言えば新人作家は、優れた作品を書けるのはもちろん、冷静に今の文学界の状況を見渡して、一段高い視点から賞などの現実システムを相対化できる作家ですね。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.078 西村麒麟(第七回北斗賞受賞作家 受賞第一作)(月刊俳句界 2017年03月号)』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■