青山YURI子さんの連載小説『コラージュの国』(第04回)をアップしましたぁ。青山さんは小説文学の縦割りジャンル分けに従うと〝前衛小説家〟といふことになります。だけんどご本人にはぜんぜんそういった意識がない。なぜかといふと青山さんの精神が既存の小説文学業界に属していないからです。たいていの小説家志望の青年は既存文壇をチラチラ横目で見て、たいしたことねーやと不遜な自信をみなぎらせながら、そこで評価されたらいいなーと考えるのがごくごく自然な姿です(爆)。しかし青山さんにはそれがない。
もそっと正確に言うと、創作者だから当然世に認められたいといふ欲求はあると思います。ただそれを上回る創作欲求が青山さんにはある。青山さん的に言うと、それは〝現代美術のようななんでもあり小説〟です。ありとあらゆるマテリアルを使い、基本まったく制約のない表現である現代美術と同様に、言葉を使う小説芸術で彼女の理想とする自由な表現を実現したいということです。既存文壇的な目で見れば青山作品は前衛小説でしょうが、ご本人は自分の表現欲求に忠実なだけ、ということになるでしょうね。
ただ十分予想できることですが、青山さん的表現欲求に形を与えるのはけっこう難しい。『コラージュの国』も連載一回ごとにかなり苦労して、表に出せるパッケージにまとめあげておられるのがひしひしと伝わってきます。その意味で小説連載には意味がある。〝表舞台に出す〟というプレッシャーがなければ拡散したまままとまらないかもしれません。ただもちろん次のステップがあります。青山さんに限りませんが作家は歩みを止めたらそこで終わりです。
とてもまとめにくい表現欲求を持った作家が完結したパッケージに作品を仕上げるには一種の奇跡が必要です。その奇跡をmustで起こさなければ作家としてやっていけない。パッケージにしようと焦ると当初の表現欲求のテンションが下がるし、野放しの表現欲求ではパッケージにまとまらない。その奇跡的バランスを探らなければなりません。それができるかどうかが作家の力量です。青山さん、得がたい作家さんであります。石川はすんごく期待しているのでありますぅ。
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第04回) 縦書版 ■
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第04回) 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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