大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『No.109 西村賢太「雨滴は続く」(文學界 2017年01月号)』をアップしましたぁ。西村賢太という作家はマジ面白いですね。「雨滴は続く」では作家デビュー前後のことを書いておられます。
まず同人誌に発表した作品が同人誌優秀作品に選ばれ文學界に作品が転載される。と同時に同人誌仲間からあまりにもベタなやっかみ混じりの言葉を投げつけられる。次いで文芸誌の編集部に呼び出され、これまたベタな新人作家対応マニュアルに直面する。大篠さんが『たいていの文学者志望の少年・少女が「雨滴は続く」のような経験をしている。あるは今後することになる。そういう意味では文学者志望の方は必読かもしれない』と書いておられる通りです。
西村作品では権威に揺らぐ弱い人間の心理も描かれるが、その基本(プリンシプル)は私小説的反骨であり反権威である。どんな経緯を辿ろうと貫太は作品を書き、それが読者に届けばいいのである。元々は自分で雑誌を出し、千万に届く金を払って私小説関連の資料を集めていたのだ。
大篠夏彦
私小説は自己と他者の絶対相対化の文学です。自分の恥を洗いざらい書けるから、他人の愚行も容赦なく描写することができる。その絶望的とも言える現実世界は、奇妙なことにおかしみに満ちている。いわゆる諧謔であり、諧謔は絶望から生まれることがよくわかります。また自他ともに愚行を繰り返しても世界は秩序を保っている。それが私小説が描き出す絶対的現実世界です。
■ 大篠夏彦 文芸誌時評 『No.109 西村賢太「雨滴は続く」(文學界 2017年01月号)』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■