第03回 文学金魚新人賞受賞作家 原里実さんの連作短篇小説『なんかいいこと(中編)』をアップしました。原さんの小説を読んでいると、伸び伸び書くのも才能の内だなと思います。石川は物事は、基本的にまず二元論で考えた方がいいと思っています。文筆でいうと内容と形式論ですね。もちろん両者は相関関係にあります。ただ小説という、基本的には物語を中核に据えた表現の場合、過剰に形式にこだわるのはあまり良くないと思います。
乱暴なことを言えば、小説の場合は書きたい内容があれば自ずから形式はついてくる。まず何を書きたいのか、何を文字として表現したいのかを把握しなければ、いくら形式を工夫しても無駄です。深刻そうな顔をしていても、大半の純文学作品が失格の理由もここにあります。本当に形式が重要になるのは、表現したい内容が複雑な場合だけだと言ってもいい。形式を工夫しなければ、伝達したい内容が上手く伝わらない場合などです。あ、石川が言っている形式とは小説全体のストラクチャーであって、テニオハの文体ではありませんよぉ。
もひとつ例をあげると、物語要素がない自由詩では形式がとても重要になる。自由詩は内容・形式が文字通り完全に自由な表現様式ですが、作家が世界をどう捉えるのかが形式になります。だから優れた詩人たちの作品形式は、個々に異なる。詩人ごとに世界認識方法が異なり、それが形式として表現されているからです。自由詩が意味内容だけからは読み解けない(十分に鑑賞できない)理由もそこにあります。ジャンルによって表現の仕方は異なるのであります。
■ 原里実 連作短篇小説『なんかいいこと(中編)』 縦書版 ■
■ 原里実 連作短篇小説『なんかいいこと(中編)』 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■