山本俊則さんの美術展時評『No.067 『平安の秘仏展』』をアップしましたぁ。正確には『滋賀櫟野寺の大観音とみほとけたち 平安の秘仏展』です。滋賀県甲賀市の櫟野寺(らくやじ)には20を超える平安期から鎌倉期の仏様が伝わっています。御本尊の十一面観音菩薩像は秘仏で、三十三年に一度の大開帳の時にしか一般には公開されません。それが本堂などの修復のために東博に貸し出されたのですね。美術界ではこれはちょっとした事件でした。
櫟野寺の仏様に一木造りが多いのは、開祖最澄の櫟の木の仏を安置したという口碑に合致しているかもしれない。樹木信仰と仏教が習合した可能性があるということだ。櫟野寺は仏像を生み出す聖地として、つまり仏性のオリジンとして、樹木信仰とともに人々の信仰を集めていたのかもしれない。
(山本俊則)
櫟野寺のあたりはえっらい田舎です。そこに5メートルを超える、しかも普通は立像の観音菩薩像が、坐像で伝わっている理由はまだはっきりとはわかっていません。櫟野寺は最澄開基と伝えられ、最澄が比叡山を建立するための木材を求めてこの地を訪れ、櫟(イチイ)の木を彫って仏像を安置したのが始まりと言われます。ただ伝来している仏様は最澄より100年は後に作られたものです。
ただ山本さんが書いておられるように、古い「口碑」(口から口に伝えられた伝承)にはそれに合致するような史実が含まれていることが多い。これも山本さんが書いておられますが、巨大で絢爛豪華な仏様を造るには多額の費用が必要です。櫟野寺は間違いなく特別な場所であったわけですが、その理由は今となっては残された仏様から読み解くしかないのです。
■ 山本俊則 美術展時評『No.067 『平安の秘仏展』』 ■
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