金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.049 『シラユキさんとあみあみモンスター』アンネマリー・ファン・ハーリンゲン著 野坂悦子訳』をアップしましたぁ。金井さんは『絵本のイラストがどうあるべきか、ということに一つの秀れた答えを与えていると思う』と書いておられます。その前に立つと人間が『言葉を失うのが絵画の圧力』ですが、『イラストはたいてい、その線でテキストと親和する。イラストの線はテキスト同様、読み解かれるような気がする』といふことです。金井さんは文字とイラストが混在といふより融け合っているような絵本がお好きですね。
東洋では昔から書を一つの絵のようにして鑑賞する伝統があります。ただ近代になって、その可能性をグンと広げてくれたのはやっぱりヨーロッパ芸術でしょうね。ヨーロッパでも『ケルズの書』とか、文字と絵が混合したような芸術作品は昔からありました。だけど中世以降は文字と絵が分離してゆきます。19世紀に入ってバーン=ジョーンスらが現れ、古代的な文字と絵画の融合が復活するわけです。ただそれは東洋的な〝書字一体〟の芸術ではなく、〝絵と字の弁証法的昇華〟だったと思います。日本の現代芸術で文字と絵の融合を目指す場合も、ヨーロッパ的方法を基盤にして、そこに東洋的スパイスを付加していることが多いと思います。
現代ではDTPなどが一般化したこともあり、一昔前の自由詩のタイポグラフィなどが、少なくとも表現手法としては恐ろしく古びてしまっています。自由詩のタイポグラフィは、非常に制約の多かった活字を使ったアヴァンギャルドでした。しかし技術を超える理念が認められなければ、当時の新しいオモチャとみなされるのは当然のことです。じゃあ文字と絵を巡るアヴァンギャルド精神の本質はなにか。それは皆さんで考えていただくことですが、『シラユキさんとあみあみモンスター』にはそのヒントがあるように思います。
■ 金井純 BOOKレビュー 『絵のある本のはなし』『No.049 『シラユキさんとあみあみモンスター』アンネマリー・ファン・ハーリンゲン著 野坂悦子訳』 ■
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