岡野隆さんの詩誌時評『No.036 月刊俳句界 2016年02月号』をアップしましたぁ。茨木和生さんと安井浩司さんの俳句を取り上げておられます。茨木さんは有季定型のいわゆる伝統俳句の俳人です。安井さんは前衛俳人として知られますが、岡野さんは共通点を指摘しておられます。
産土の産屋の跡の霜柱
日向ぼこわてら三つ子と婆笑ふ
鉋の刃砥ぐ大寒の指物師
寒鰡を鯉に見立てて神饌とせり
磐座に出づ探梅の翁道
茨木和生
岡野さんは茨木俳句について、『まったくと言ってよいほど作家の自我意識が表れない淡泊な表現が一番の特徴である』、『茨木俳句の淡さは意味として無限に読解できる可能性がある。(中略)作家が自己の自我意識の消失点のようなところにまで至れば名句が生まれるのは必然である。俳句文学がこの〝作家の自我意識の消失点〟を基盤にしているのは間違いない』と批評しておられます。
雁の空落ちくるものを身籠らん
廻りそむ原動天や山菫
鵺一羽はばたきおらん裏銀河
師と少年宇宙の火事を仰ぎつつ
消えるまで沙羅(シャーラ)を登りゆくや父
安井浩司
安井俳句について岡野さんは、『安井氏は無意識層まで含めて俳句の取り合わせを行っている。それはかつてない形で俳句文学の表現の裾野を拡げる試みである。(中略)また無意識層にまで至った俳人の自我意識はとても希薄である。それは個人の自我意識であって、自我意識でなくなっている。この位相は伝統俳句が至り着く〝作家の自我意識の消失点〟と同質である。つまり安井氏の前衛俳句は、俳句原理に立脚した伝統的なものでもある』と批評しておられます。じっくりお楽しみください。
■ 岡野隆 詩誌時評 『No.036 月刊俳句界 2016年02月号』 ■
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