小原眞紀子さんの連載純文学小説『神違え』(第07回)をアップしましたぁ。『神違え』の〝違え〟ですが、これには陰陽道の〝方違え(かたたがえ)〟の意味が付与されているようです。方違えとは凶の方角を避けて、わざわざ別の場所に迂回してから目的地に行く風習です。この風習が盛んに行われていたのは平安時代です。『神違え』では失踪したマンション管理人の行方を探して、主人公とマンション理事長の〝方違え〟の旅が続くのです。
わたしは長の顔を見つめた。
中曽根元首相をはじめ、かつて若い頃の歴代首相、財界の超大物が将来を占い、見に出かけたという座敷童だ。そこまではっきり長いこと見た者なら国を治め、必ず天下を取るだろう。
わたしのその言葉に、長は再び、ゆっくりと頷いた。
「大長、」とわたしは呟いた。
来林の長は、いまや大長と呼ばれるべきだ。
わたしが三拝すると、大長の身体からはさらなる光が溢れ、後光のごとく尊顔を取り巻き、奥深く澄んだ香までも響いてくる。
大長は、御自身で荷物を肩に掛けられた。
背をまっすぐ伸ばし、両手を胸の前に組み、童の仮宿を後にされた。
タクシーを呼び、駅に向かった。
(小原眞紀子『神違え』)
どうやら座敷童が出るという宿でマンション理事長は座敷童を目撃し、『来林の長』から『大長と呼ばれるべき』存在へと昇格したようです。このあたりの猥雑と滑稽が入り交じるところがvery小原さんですね。小さな小さなマンションの管理を巡る、理事会と管理会社との現実利害的な戦いが、全国家的覇権欲望へと拡がってゆく。次は九州征伐です。続きが楽しみですぅ。
■ 小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第07回) pdf版 ■
■ 小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第07回) テキスト版 ■
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