鶴山裕司さんの連載エセー『続続・言葉と骨董』『第052回 フレンチ・デルフト、イングリッシュ・デルフト(前編)』をアップしましたぁ。冒頭で鶴山さんが『今回はオランダ以外の国々に、どうデルフト焼が伝わっていったのかを辿ってみたい』と書いておられるように、ヨーロッパ大陸におけるデルフト焼の伝播が主題です。オランダのデルフトで最盛期を迎えた陶器作りは、フランスやイギリスなどにも広まっていったのですね。
ヨーロッパ人は日本や朝鮮、中国のような陶磁器大好き民俗ではなかった。人類史上、初めて陶器を作ったはエジプトなどの古代文明である。ヨーロッパ文化の起源とも言えるギリシャでは驚くほど精緻な陶器が作られた。だがローマ時代になると陶器生産は下火になる。フランス、ドイツ、イギリスなどのヨーロッパ先進国家はギリシャ・ローマ文明の影響を強く受けたが、陶器文化は継承していない。それどころか長い間、ほとんどまともな陶器を作っていなかったようなのだ。
(鶴山裕司『フレンチ・デルフト、イングリッシュ・デルフト(前編)』)
これは確かにそうなんだなぁ。ヨーロッパの王侯貴族は銀製品を食器に使うことが多く、庶民が使うのは木器かピューターと呼ばれる錫製の物が多かったです。ナイフとフォークを使うから熱伝導率の高い食器でも良かったのでしょうが、銀や錫製品のコップなども数多く残っています。温かい飲み物を入れると、熱かったと思うんだけどなぁ。
鶴山さんはまた、『ヨーロッパでは、文化はフランス、ドイツ、イギリスなどから周辺国家に伝播することが多い。しかし焼き物はそうではなかった。十七世紀から盛んになるデルフト焼は、炻器とは別のルートで発達した製陶技術だからである』と書いておられます。デルフト焼はイスラーム陶器の影響を受けたマジョリカ焼がイタリアに伝わり、そこからオランダに伝播していったのです。ヨーロッパ陶器文化論になっています。後半に続くのでしたぁ。
■ 鶴山裕司 連載エセー『続続・言葉と骨董』『第052回 フレンチ・デルフト、イングリッシュ・デルフト(前編)』 ■
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